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『デザインあ展』@21_21 DESIGN SIGHT【展覧会紹介】

ah_10会期は残すところ今週末まで。話題の『デザインあ展』に遅ればせながら行ってきました。ご存知の方も多いと思いますが、この展覧会ではNHKのEテレで放送されている「デザインあ」の世界が、実際に体験できるかたちとなって展示されています。「デザインあ」は、普段無意識のうちに享受している“デザイン”を観察したり解体したり、プロセスや本質を美しいビジュアルと鋭い視点から見せることで、こどもたちの“デザイン的思考”を養うことを目的にしたテレビプログラムですが、目の前で見て触れて、自分がそのプロセスを踏むことで得られるもののボリュームは、テレビから受け取れるものとは比べものにならないということを痛感しました。月並みですが「デザインあ」というフォーマット自体は、圧倒的に体験向きというのが一番の感想です。

こどもの知的好奇心を刺激する展示の数々

会場はこどもから大人まで、たくさんの人でにぎわっていました。とくに小さなこども連れで参加している家族が多く、ベビーカー置き場がいっぱいだったほど。また展示台もこどもの目線にちょうどよい高さにつくられていて、こどもが存分に楽しみ・学ぶのに最適な空間になっていたのが印象的でした。デザインという言葉すら知らない子が、そのプロセスや本質に触れることからデザインを知ることのできるこの展示は、参加したすべてのこどもにとって、とても貴重な経験になったはずです。

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「お寿司のいろいろ」

とくに、会場に多くいたであろう2〜6歳ごろのこどもは、心理学で「質問期」と呼ばれるほど知的好奇心が発達するころ。そのこどもたちにとって、『デザインあ展』後の関心や「なんで?」の対象にどんな変化があったのか。そんなことも想像させる展示でした。また大人にとっては、自分の“デザイン的思考”を養えるのはもちろん、こどもの「なんで?」や「どうして?」にどうやって答え、新たな気づきや発見にいかに導いてあげるかのヒントが、たくさんつまっていた展覧会だったと思います。

「デザインあ」の世界を体験する心地よさ

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「モノ・オトと映像の部屋」

テレビの「デザインあ」を見たことがある人にとっては、おなじみのコーナーやシーンを体験できる展示としてもおもしろいものになっています。番組の「うた」のコーナーが部屋中にひろがる「モノ・オトと映像の部屋」では、小山田圭吾(コーネリアス)の音楽とtha ltd.による映像、目の前に並べられたさまざまな物(それを照らすスポットライト)がシンクロして、形や色、数といったデザインの要素を目の当たりにさせてくれます。また、テレビでは「デザインの観察」というコーナーで表現されているような、折り紙を「折る」、風呂敷で物を「包む」といった“行為のデザイン”を体験できる展示もあり、見るだけではわからない一つひとつの所作の意味を、実際に手先をつかって知ることのできる心地よさがありました。そしてもちろん、人気コーナー「解散!」の展示も。お寿司やお札、カップヌードルなど、馴染みのものがバラバラになっている(デザインの要素を一つひとつ確認できる)様子は、生で見るとあらためて新鮮でした。

「デザインあ」的視点を日々の暮らしに落としこむ

『デザインあ展』は、「デザインあ」の世界を体験できる、あるいはそれ以上の気付きを与えてくれるものでした。しかしそれらはいずれも、私たちの身の回りに当然のようにあるものたちを、独自の視点で提示してくれているに過ぎません。しかも、そこで用いられているキーワードは「まるとしかく」「ちょうどいい」「いろいろ」「うごき」「ぶぶん」など、極めて普遍的なものばかり。当たり前すぎてじっくり観察しなかった事象を、まじまじと見せられることで驚くモノやコトで溢れています。つまりは、その視点さえ手に入れれば、世の中の見え方はガラリと変わるということ。その意味で言うと、「すごい!」「おもしろい!」この展示をいかに体験するかということよりも(意識せずとも素晴らしい体験ができるという意味で)、会場を出たあとの体験を、いかに「デザインあ」的視点で捉えていけるかのほうが、ずっと大切なのだと思いました。

「しょうゆをさす」

「しょうゆをさす」

そしておそらく、それが得意なのは好奇心旺盛で体験したことを柔軟に吸収できる、こどものほうなのだと思います。だから大人が見るなら、ちょっとそのことも意識しないともったいないかもしれません。一方、大人が慣れている「見て理解する」ことを求められるのは、テレビのほう。テレビの「デザインあ」も非常に優れた番組ですが、見て理解することが苦手なこどもにとっては、頭に「?」が浮かんだままになってしまうこともあるかもしれません。そんなときは、そばにいる大人が日々の暮らしのなかで「デザインあ」的視点を用いた体験をさせてあげることが大切なのだと思います。

テレビの「デザインあ」を見るときはそんなことも意識してみよう、と、この展示をとおしてあらためて感じました。

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左「モノ・オトと映像の部屋」 右「ふろしき」

左「解散!」 右「デッサンあ」

左「解散!」 右「デッサンあ」

 

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『デザインあ展』

会期:2013年2月8日(金)〜2013年6月2日(日)
休館日:火曜日
開館時間:10:30〜20:00(入場は19:30まで)
※5月25日(土)、26日(日)、6月1日(土)、2日(日)は開館を早め、9:00~20:00に変更
入場料:一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
会場:21_21 DESIGN SIGHT
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団、NHK エデュケーショナル
後援:文化庁、経済産業省
特別協賛:三井不動産株式会社
協賛:株式会社 佐藤卓デザイン事務所
協力:株式会社アマナ、株式会社アマナイメージズ、キヤノン株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、ジャパンマテリアル株式会社、ベンキュージャパン株式会社、マックスレイ株式会社、ヤマハ株式会社
展覧会ディレクター:佐藤 卓、中村勇吾、小山田圭吾
展覧会HP:http://www.2121designsight.jp/program/design_ah/
テレビ番組HP:http://www.nhk.or.jp/design-ah/
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