• HOME
  • COLUMNS
  • ぶどう畑発 農家のヨメのカルチャー日記:12【連載コラム】

広告やデザイン、クリエイティブの情報コラム

ニッポンツツウラウラ

ぶどう畑発 農家のヨメのカルチャー日記:12【連載コラム】

目指すはカルチュラルな農的暮らし

東京でのカルチャーウェブマガジン編集/映画配給宣伝の職を経て山梨で半農半ライターをしている世木亜矢子が、山梨カルチャーを連載コラムでご紹介。

山梨にD&DEPARTMENTがオープン

丹下健三の建築による山梨文化会館2階にオープン。

丹下健三の建築による山梨文化会館2階にオープン。

2013年6月中旬、甲府駅の北口に「D&DEPARTMENT YAMANASHI」がオープン。レセプションパーティに行ってきました。山梨を代表するメディア山梨日日新聞社・山梨放送グループの140周年事業として、丹下健三建築である本社の山梨文化会館2階に、ショップとカフェが入居。レセプションパーティではまず1Fホールでトークがあり、その後2Fのショップ&カフェへ移りWATER WATER CAMELのライブなどが行なわれました。エレベーターを上がってすぐのショップ入り口に沖縄コーナーがあり、わたしの妹夫婦がやっている井口工房の器が。ここ山梨で彼女たちの器を見ることができるなんて!と、じ〜ん。D&DEPARTMENTのショップは、渋谷ヒカリエと沖縄のショップに行ったことがありますが、きっとここだけ、と思うのは中央にあるワインセラー。中には山梨が誇るおいしいワインがずらり。印伝製品などのグッズはもちろん、パンやアイスクリームなど山梨のご当地グルメにも出会うことができます。そして、それらの素晴らしいモノとの出会いよりさらにうれしいこと、それはここからなにか楽しいことが始まるんじゃないか、そう思わせてくれるわくわく感です。

芸術祭やアーティスト・イン・レジデンスも

山梨の名品を探すのにおすすめ。

山梨の名品を探すのにおすすめな、D&DEPARTMENT YAMANASHI。

一方、南口では秋に芸術祭が開催されます。会場となるのはアーティスト・イン・レジデンスの施設や味噌屋さんなど、甲府市中心街の店舗や空き家。南口のメインストリートにはこの春、甲府市役所の新庁舎が誕生しました。閉庁日にも自由に利用することができるコミュニティスペースがあってこれが意外と便利。そこから東へ歩いて行くと、センスの良いフリーペーパーを発行しているデザイン会社があったり、1杯ずつ丁寧にいれたコーヒーをテイクアウトすることができるコーヒー店があったり、ナチュラルでおいしい食事を提供するカフェがあったり。甲府の街っておもしろい、そんな気付きのある最近の日々です。

 

甲州市のファーマーズ・マーケット

ベテラン農家の方にいただいたタマネギとニンニク。わたしが今年初めて挑戦したタマネギは、この三分の一くらいの大きさ……

ベテラン農家の方にいただいたタマネギとニンニク。わたしが今年初めて挑戦したタマネギは、この三分の一くらいの大きさ……

そして、わたしが住んでいる甲州市。農業が盛んなこの町では県内外からたくさんのひとが訪れる人気の朝市「かつぬま朝市」が開かれています。ぶどうや桃などそのときどきの季節の果物はもちろん、野菜やワインなど山梨らしい商品が並びます。大勢の出店者が県内外から集まってきていて、出店はキャンセル待ちだとか。そんな朝市に対して「ゴゴイチ」を開催しているのが、塩山にあるカフェ。勝沼には観光情報を手に入れることができたり、ライブが開催されたり、ヨガをすることができたりする地域のコミュニティスペースもあります。

 

 

 

 

山梨での農的暮らし

ドライでも、ペーストでも。保存食づくりが楽しい万能ハーブ、バジルが茂っています。

ドライでも、ペーストでも。保存食づくりが楽しい万能ハーブ、バジルが茂っています。

数年前から耳にすることが多くなった“農的暮らし”や“半農半X”という言葉。そんな中できるだけ農薬を使わない農業をしたいけれど、無農薬・有機農業で生計を立てるのは簡単じゃない。塩山は水はけが良いので果樹栽培向きで、田んぼ向きではないのだけれど、やはりお米をつくってみたい。それは「自分たちが食べる安心な食べものを自分たちの手でつくりたい」というとてもプリミティブな欲求なのだと思います。そんなとき、山梨でがんばっている若手農家の話を聞くのは大きな喜び。しかし農業だけの日々じゃつまらない。畑の日々とカルチュラルな日々。それをバランスよく実現することができるのが、ここ山梨の魅力だと思います。

この連載をきっかけに、たくさんの良い出会いに恵まれました。これまで半年間、全12回、全部読んでくださった方も、今回初めて読んでくださった方も、本当にどうもありがとうございました。アートアンドサイエンスのサイトでまた、今後のご報告をすることができればうれしいです。

————————————————————————————————-

農家のヨメ「本日の一コマ」

雨や日焼けから守るために、ひと房ずつ丁寧に袋をかけて口についたワイヤーでぐるり。あとはぶどうの神様に任せます。これから2ヵ月、きれいに色付き甘く変身するのを待つばかり。

最も早い品種が色付く桃と、袋や傘をかけられ日に日に粒を大きくするぶどう。初夏の訪れを告げる塩山の風景です。

最も早い品種が色付く桃と、袋や傘をかけられ日に日に粒を大きくするぶどう。初夏の訪れを告げる塩山の風景です。

————————————————————————————————-
世木亜矢子:プロフィール

1980年生まれ、神奈川県出身。カルチャーウェブマガジン編集/映画配給宣伝の職を経て、半農半ライターに。ぶどう農家である夫と「くじら果樹園」を営む傍ら、ライター/コピーライターとして活動中。夫、小学生のおしゃまな娘、シェパードのようなミックス犬と富士山と南アルプスを見渡す山梨県甲州市塩山に暮らす。