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ぶどう畑発 農家のヨメのカルチャー日記:6【連載コラム】

つちころび×農カフェhakariコラボイベント

東京でのカルチャーウェブマガジン編集/映画配給宣伝の職を経て山梨で半農半ライターをしている世木亜矢子が、山梨カルチャーを連載コラムでご紹介。

野草を食すことと菜食の共通する世界観

舞子さんのお手製、干しツクシ。

山梨県笛吹市にある「農カフェhakari」は、穀物菜食のおいしい食事を提供しているカフェです。定期的にベジ料理教室を開催していて、わたしも一年前に参加しました。わたしはベジタリアンではないけれど、家族の病気をきっかけに穀物菜食の食事を心がけるように。そして今回の料理教室で使う材料は「野草」です。野草について教えてくれるのは、山梨県甲州市を拠点に活動を行っている「摘み草のお店つちころび」の鶴岡舞子さん。つくり方を教えてくれるのは、野草を取り入れたレシピを考案したhakariの風間由布さん。野草を食べる世界と菜食の世界には共通する部分が多いとのことで生まれた、つちころびとhakariによるコラボレーションイベントです。

 

山梨へきて野草が身近な存在に

カフェ営業で実際に使われている厨房で、料理スタート。

 

「野草」に興味を持ったのは、5年ほど前に若杉友子さんによる野草の本をプレゼントされたのがきっかけでした。そのときは都市で暮らしており周囲に野草がある気配が感じられなかったのですが、山梨へ住み始めたとたん野草がとても身近な存在に。若杉さんの本には食べ方や効用などがとてもわかりやすく書かれており、それを見ながら昨春初めて「ツクシの佃煮」をつくりました。実家の母が卵とじや佃煮をつくっていたのを小さい頃に手伝った記憶が甦ったものです。そのツクシの佃煮、子ども受けは悪かったのですが義父母はよろこんで食べてくれました。しかしザルいっぱいのツクシは頭と袴の部分をとるのに一日がかり。さて今年はどうしたものか、そう思っていたときにこのイベントへのお誘いを受けたのです。

 

新しくてスタイリッシュ、なによりおいしい

イタドリ入りのタルタルソース。

この日の参加者は、女性ばかり6名。自己紹介や講師紹介、イベントのコンセプトなどの話のあと、野草について学ぶ座学がありました。登場したのは料理に使う3種類の野草「イタドリ」「スベリヒユ」そして「ツクシ」です。前述の通りツクシは割となじみ深い野草かと思いますが、イタドリとスベリヒユはわたしは名前をきくのも初めて。舞子さん持参のツクシは、ハカマをとって蒸し天日で干し上げたもの。味見をするとスルメのような味と食感。スベリヒユは、蒸して天日干ししたもの。山形県では正月料理に用いられるそうです。イタドリは、皮をむき塩漬けにしたもの。やや筋っぽい山菜ならではの風味でした。お料理のメニューは「玄米ごはん」「ツクシと春キャベツのおみそ汁」「車麩のフライ イタドリ入り豆腐タルタルソース」「スベリヒユと長いもの塩こうじ炒め」の4点。皆でエプロンをつけ厨房へ。まずは野草と野菜を切るところから。まな板と包丁を使うときの注意点など料理の基礎的なことを教えてくれるのもこの料理教室のいいところ。マクロビオティックでいう陰陽の働きや回し切りについて、穀物菜食の基本である玄米ごはんの炊き方なども丁寧に教えてくれるのです。乾燥ツクシはしばらく水につけたあと火にかけて出汁をとります。そのままみそ汁の具材としても使えるので、これはいい!と家で実践することを決意。イタドリはみじん切りしてタルタルソースの具に。ピクルスのような歯ごたえでとてもおいしいソースの出来上がり。スベリヒユは長いもと炒めます。白い長いものアクセントになって見た目もきれい。佃煮など昔から食べられている方法では、つまらない。新しくてスタイリッシュ、畑を持っていなくても自分で手に入れることができ、身体によくなによりおいしい、そんな野草ベジ料理の数々です。

命ある食べものをありがたくいただく

完成!とっても美味でした。

ツクシはすでに畑でニョロニョロのように生えているけれど、イタドリとスベリヒユはどこにあるのだろう。イタドリは春にタケノコのような姿で、スベリヒユは夏に生えてくるようなので、今回配られたレジュメ片手に探してみることにします。第2回のコラムで山梨の郷土料理ほうとうについてご紹介しましたが、ほうとうが伝統的な料理だとすれば、野草や菜食はこれからの未来の料理だと思うんです。「無農薬」「有機」「オーガニック」「フェアトレード」「国産」「在来種」……。地球とひとにやさしい食品が注目を集めて久しいですが、イメージにとらわれすぎず、命がしっかりと宿った正しい食べものを自分の五感をフル活用して選ぶ力を身につけたいと思います。そして農作物ができるだけ無農薬・無化学肥料でつくられることを願ってやみません。生産者である自分たちへの戒めも込めて。

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農家のヨメ「本日の一コマ」

庭の片隅にふきのとうが顔を出しました。天ぷらにしてぱくり。おひたしにしてぺろり。そして今年はふきみそにチャレンジ!使うお味噌は義父母が大豆から育てた手前味噌。おいしくないわけがありません。

この姿を見ると「春がきた〜!」とテンションアップ。宝探しのようでわくわくします。

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世木亜矢子:プロフィール
1980年生まれ、神奈川県出身。カルチャーウェブマガジン編集/映画配給宣伝の職を経て、半農半ライターに。ぶどう農家である夫と「くじら果樹園」を営む傍ら、ライター/コピーライターとして活動中。夫、小学生のおしゃまな娘、シェパードのようなミックス犬と富士山と南アルプスを見渡す山梨県甲州市塩山に暮らす。