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『アーティスト・ファイル2013―現代の作家たち』@ 国立新美術館【展覧会紹介】

国立新美術館で開催されている『アーティスト・ファイル2013―現代の作家たち』展へ行ってきました。本展は、 国内外で活躍する現代のアーティストを紹介するとともに、その作家・作品をファイリングするという、少し変わった目的を持つ展覧会。5回目を迎えた今回は、海外の作家3名を含む8名の作家がセレクトされました。

誰もが持つ「現代」という共通点

「彼らの作品をとおして最新のアートに触れていただくとともに、本展が、我々が生きる複雑で豊かな世界を静かに見つめるきっかけとなれば幸いです」――これは、本展の展示概要の一節なのですが、まさにそのとおりという展示です。出品作家の年代も作品形態もさまざまですし、扱っているテーマも多様。現代の作家というくくり以外に余計な意図でまとめられておらず、展示スペースも明確に分けられているので、各作家の作品とじっくり向き合うことができます。

なので、「現代」というテーマは際立ちます。そして、そのテーマが作家のみならず、見る側にも共通しているということがひしひしと伝わってくるような、そんな展示です。8名の作家の作品に何を感じるかも、鑑賞後にどんな視点を持っているかも、「現代」という同時代性のもとに成立するという意味で、とても貴重な体験ができる空間になっていると思いました。

東亭順 右 《Sad but True》 2011年、左 《Sad but True》 2011年 Ⓒ Jun Azumatei / courtesy of AB Gallery

國安孝昌 《Spiral of MIDOU》 1997年 撮影:國安孝昌

目前にするだけで圧倒される作品たち

各作家の作品自体も、誤解を恐れずに言えば、意味を伴い過ぎていないという印象でした。単純に美しいし、楽しいし、圧倒されるし、ドキッとさせられる。そんな作品が展示されています。もちろん、キャプションを読み作家の意図や技法を知ることでさらに作品への理解が深まるということもあるのですが、たとえそこに一切の情報がなくても、きちんと成立する力のある作家・作品が集められていました。

そういう意味では、いわゆる現代アートというと「ちょっと難解」と思われている方にも見てもらえたらよいなと思います。あえてジャンル分けするなら「現代アート」ではあるけれど、それ以前に「現代の作家」がつくったもの、という、とても分かりやすいくくりで捉えて見ると、シンプルに面白いものだと感じるはずです。

ダレン・アーモンド 《Fullmoon アイフェルにて 2》 2010年 Courtesy of Galerie Max Hetzler, Berlin / Darren Almond

最新のアートを、ぜひぜひその目で

少しだけ具体的な展示の内容に触れると、僕が特に気になった作品は、國安孝昌さんとダレン・アーモンドさんの作品。陶ブロックと丸太をひたすらに積み上げ、巨大な造形物を作り出す國安孝昌さんの作品は、展示スペースを埋め尽くし、見る者を圧倒します。その作品の前では、原始的な素材の圧倒的な集積に対する、自分という存在の小ささを感じずにはいられません。ダレン・アーモンドさんの作品は、月あかりだけで(長時間露光により)撮影した写真作品。太陽の光では表現できない柔らかな光による写真の美しさや、そこに長い時間の経過が詰まっていることの面白さを感じながら、じーっと眺めてしまう作品です。

また、ダレン・アーモンドさんはビデオインスタレーション作品も出展しているのですが、これが、とても心地よい感動に包まれる作品。作家本人の祖母が晩年に回想した、若くに失った夫との思い出をモチーフにした映像作品が、大きな空間、大小異なる4つのディスプレイで展開されています。方法は違えど、ダレン・アーモンドさんはこの作品でも、時間の経過という、本来目に見えぬものを見事に表現してみせています。

他の作家の作品も、それぞれにそれぞれの方法で現代を映し出していて興味深いものばかり。とはいえ、いろいろと御託を並べるよりも、ぜひその場で見て・体験してほしいという展示です。「アーティスト・ファイル」というコンセプトにちなんだ、作家ごとにファイリングされた図録もおすすめ。また、アーティスト・トークやワークショップ、パフォーマンスなどイベントも多数用意されているので、そのタイミングで行くのもいいですね。今注目すべき最新のアートを、ぜひその目で確かめてみてください!
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『アーティスト・ファイル2013―現代の作家たち』

会期:2013年1月23日(水)~4月1日(月)毎週火曜日休館
時間:10:00~18:00 金曜日は20:00まで
※3月23日(土)は「六本木アートナイト2013」開催にともない22:00まで開館
※入場は閉館の30分前まで。
※会場内混雑の際には入場を制限することがあります。
会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2)
主催:国立新美術館
会場HP:http://www.nact.jp/exhibition_special/2012/af2013/index.html
展覧会HP:http://artistfile2013.nact.jp/

各作家の作品集のような図録

概要:
国内外で注目すべき活動を展開する現代作家を取り上げ、個展形式で紹介する「アーティスト・ファイル」展。5回目となる今回は約2年ぶりの開催となり、海外の作家3名を含む8名の作家が参加します。出品作家は30代から60代まで世代も幅広く、表現メディアも多様ですが、いずれも芸術表現の無限の可能性に挑みつつ、社会を真摯に見つめ、自己と向き合いながら、ひたむきに制作に取り組んでいます。彼らの作品をとおして最新のアートに触れていただくとともに、本展が、我々が生きる複雑で豊かな世界を静かに見つめるきっかけとなれば幸いです。
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