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ニッポンツツウラウラ

地域活性プロジェクトを読む・その3「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」

山形の芋煮会や、スマートドライバーなど・・・いま、依頼を受けてないイベントやムーブメントが数多く開催されています。 今回は、そのひとつである“日本各地で愛を叫ぶイベント”に焦点を当ててお話しします。

自分が楽しいと思うことを、やってみる。

嬬恋村「愛妻の丘」完成記念ピンバッヂ

愛を叫ぶイベント。その発端は、2005年に群馬県吾妻郡嬬恋村スタートした「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ(通称:キャベチュー)」。これは、日本愛妻家協会事務局長・山名清隆さんが、純粋におもしろがって始めたことです。再婚後、愛妻家といわれるようになった山名さんが、いつものように嬬恋村にゴルフに行った際、急に地名が気になり由来を調査。すると、1900年前、妻の訃報を聞いた日本武尊が「我妻、恋し」と3度叫んだという伝説に至ります。戦中で心が奮い立っている英雄が、周囲を驚かせ、伝説になるほど愛を叫んだことに、山名さんは非常に感動したといいます。 その後、知人たちと日本武尊の伝説を再現しようと、キャベツ畑ツアーを敢行。ひょんなことからイベント開催へと至ります。ですが、愛という言葉に冷めていた当時、山名さんの感動とは裏腹に申し込みはゼロ。誰に依頼されているわけでもないということもあり、この事実をおもしろがり、仕込みなしで当日を迎えると、ちらほら人が集まってきたといいます。 ここで山名さんは、駅から1時間もかかるところで愛を叫ぶというのは、利便性を好む今の時代に、逆に神聖な場所と考えられると考えたといいます。どんな出来事も、付加価値へとシフトさせる思考が大切だということなのでしょう。

アイデアが動き出したら、パロディを考える。

日比谷花壇とコラボした男の帰宅花作戦

映画「きいろいゾウ」とコラボしたステッカー

また、当時は愛・地球博(2005年)が開催されるなど、地球温暖化が大きな社会問題となっていました。山名さんはそれに着想し、世間は地球温暖化という壮大な問題を掲げているが、身近な他人である妻との温度は大丈夫?と考え、2006年1月31日に「男の帰宅大作戦(持続可能な夫婦環境を求めて)」というプロジェクトをスタートさせます。根本の考え方からコピー、デザイン(非常口のマークのパロディ)に至るまで、広く認知されあていることから少しズラしたもの。その違和感やバカバカしさ、覚えやすさで、どんどん流通していったといいます。

オープンにすると、人は集まる。

新聞社、日比谷花壇とコラボしたハグマット

また、ブログには、ハグをナビゲーションするハグマットを掲載。おもしろがってくれた新聞社の方から掲載依頼があったといいます。とはいえ、大物政治家等の写真が載る新聞。新聞を踏むへと導くものということから、1年目は反対されるものの、掲載を強く希望した新聞社の方が問題をクリアにし、無事掲載に至ったといいます。 そうこうしているうちに、「キャベツ畑の中心で愛を叫ぶ」が広く普及。加えて、講演会活動などを行っていると、静岡に住むお茶農家の青年や三重に住む旅館の女将など多くの人が「キャベツ畑の中心で愛を叫ぶ」に共感し、各地で愛を叫ぶイベントが増加していきます。もちろん、それぞれに開催許可の問い合わせがあり、山名さんは快く許可するだけではなくサポートまで行ったといいます。結果、いまでは全チュー連ができるほどに、全国的なイベントへと発展しています。 また、群馬県の嬬恋村では、県の方やボランティアで、看板や台、モニュメント等を作り、積極的に関わりだします。役場には、愛妻課までできたというから驚きです。これは、自分たちの地元に誇りにできることを見つけてもらい、それに自由に関わることができた点が成功への秘訣だったのでしょう。

否定はカンタン。まず、やってみる。

自分が本当におもしろいと思っていることをやっていると、たくさんの人が力を貸してくれて自然と物事がいい方向へと向かっていくと山名さんはいいます。アイデアを出すと、リスクを回避するために否定されることは多々あること。でも、まずやってみる。そうすると、アイデアはどんどん広がっていくんだそう。加えて大切にしていることが、人を巻き込むのではなく、遠くにアイデアの球を投げること。多くの人が、その球の勢いに影響を受けアイデアがどんどん膨らんでいくといいます。つまり、自分のところに帰結する「巻き込み」ではなく、人と人の間に大きなスペースを作って話し合う余裕が大切なんだとか。新しいプロジェクトを始めるときは、これをやってみたら世の中はどうなるんだろうくらいの大きな好奇心で取り組み、人に自由に参加させるような余地を与えることが、その拡散や成功へとつながるようです。

<ポイント>
・ 自分がおもしろいと思うことを真剣におもしろがる。
・ リスクばかり考えずに、まずやってみる。
・ クローズではなく、オープンにする。
・ 巻き込むのではなく、アイデアを遠くに投げる。