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地域活性プロジェクトを読む・その2「あきたびじょんプロジェクト」

各地で観光客誘致キャンペーンがさまざまに行われているなかで、秋田県も今年1月からじわじわと規模を大きくしてゆくキャンペーンを実施しています。そのコミュニケーションデザイン部門を担当するのが、前回のコラムでも紹介したグラフィック・デザイナーの梅原真さん。県からイメージアップ戦略アドバイザーとして迎えられて「あきたびじょん」のキャッチコピーを生み、魅力的なコミュニケーションを次々と打ち出しています。

「秋田で一番人気のある地域資源が「秋田美人」。これをじーっと眺めていたら、「ビジョン」と「びじん」がよく似ていることに気付きました。「よ」を小さくすると「びじん」に見えちゃう。僕はデザイナーですから、これをコミュニケーションの一番の源に使ってしまおうと考えました。「秋田美人」と思って「何だろう?」と寄ってきたら、実はビジョンの話だった、という感じです」(秋田県HPより)。こうした言葉に梅原さんのコピーに込めた思いが端的にあらわれていますが、“美人”と“ビジョン”を掛け合わせるユーモアと確かなアウトプットイメージはあざやかだなと思います。そして、このコピーに合わさるキービジュアルのひとつに梅原さんが選んだのが、木村伊兵衛がまさに秋田美人を撮影した作品「秋田おばこ」(1953年)。この広告は、9月10日から30日までのあいだ東京・銀座4丁目交差点の日産ギャラリーにデカデカと貼り出されたので、多くの方の眼に触れキャンペーンを象徴するものとなっているのではないでしょうか。

また、これに合わせ、9月29日に「ふるさと秋田まつり」という県主催のイベントもJR有楽町駅前で行われていました(ちょうどJR東日本のプレ秋田デスティネーションキャンペーンというのが10月1日に始まったので、そのキックオフ的な意味合いのものでした)。仙北市の田沢湖・角館観光連盟の「秋田美人100人キャンペーン団」が有楽町駅前から巨大広告の掲示されている日産ギャラリーまで練り歩き、その広告をバックに100人が記念撮影をしていると、往来する買物客や外国人観光客から大きな関心を集めていました。また、秋田県由利本庄市出身のタレント・加藤夏希さんもイベント中盤に登場し、「秋田は空気や水がきれいだから食べ物がおいしい。体にいいものがたくさんあるので心の中からきれいになれる」と地元をPRすると、観客に大きな共感をもたらしていました。なまはげも会場に現れて子どもたちと触れ合って(?)いましたが、「こういうイベントのとき、秋田にはすごい濃いキャラがいるな、別にゆるキャラでなくてもいいんだな」と改めて思ったのはぼくだけではないでしょう。

「あきたびじょんプロジェクト」では、同時に、「のんびり」というタイトルのフリーマガジンの刊行も連動しています。写真家の浅田政志さん(木村伊兵衛賞の受賞者!)が県外のクリエイターとして編集に携わっていたりするのでぜひ手にとってみたいと思っていたところ、ちょうど上記のイベントのPRブースで発刊されたばかりの第2号が配布されていたので、頂戴して眺めてみました。専用サイトでも紹介されていますが、まず、浅田さんが撮影された表紙写真がとんでもないです。ダリアの花、踊りを舞う秋田美人、日本でも有数の大曲の花火とが奥行きを持って被写体となっている一発撮りの写真なのですが、どうやっても合成にしか見えず、わざわざ本誌でも合成でないことが断られているくらいです。しかも、ちょっとおどろおどろしく、のんびりとはほど遠いような・・・。とはいえ、「これどうやって撮ったんですか!?」という驚きとともに、フリーペーパーの表紙でこのクオリティは尋常でないことは間違いありません。

梅原さんのようなベテランのデザイナーから浅田さんのような若い写真家までが関わるこの「あきたびじょんプロジェクト」。自治体が主導する地域活性(観光客誘致やイメージアップ含めて)のためのプロモーションとしてはとてもユニークでチャレンジングな取り組みだと思います。今後どのように継続してゆくのか、展開が楽しみです。