• HOME
  • COLUMNS
  • 『日本企業復活へのHTML5戦略 アップル、グーグル、アマゾン 米IT列強支配を突き崩す』小林 雅一

広告やデザイン、クリエイティブの情報コラム

本の紹介

『日本企業復活へのHTML5戦略 アップル、グーグル、アマゾン 米IT列強支配を突き崩す』小林 雅一

「HTML5について一般読者と企業関係者に向けて書かれた初めてのビジネス戦略書」というふれこみの本書。内容は、まさに一般のビジネスパーソンや生活者向けに書かれており、平易で読みやすく難解なところはまったくない。ただし、広告やデザイン関係の業界に身を置く人たちが読むと、むしろ、「一般の人たちってこんなことも知らないのか?!」という驚きを感じることになるだろう。

だからといって、それは本書の価値を低下させるものではないと思う。広告・クリエイティブ業界はともすれば、先鋭化し過ぎて現実の浸透度や実用性の進捗段階を見失ってしまう。HTML5は本書にも述べられているように、Webページ記述のための言語にとどまらない、広範なプラットフォームになる可能性をもっており、PCだけでなく、スマートフォンはもちろん、家電や自動車などの“デバイス”においても“標準化”される期待がある。広告やデザイン業界という限られた領域のスピード感でHTML5をとらえていると、そのスケール感を見失うということだろう。砂浜で楼閣づくりに興じているうちに、じわじわと潮が満ちるように迫ってきて、思いも寄らない範囲でHTML5に包囲されて、当のWebクリエイターが取り残される、なんてことも起こりうるかもしれない。そういった意味では、一般の人たちのHTML5への現時点でのリテラシーを把握しておくという効用とは別に、HTML5がすでにわたしたち「Web(サイト)制作会社」だけのためのものではないと認識するよいきっかけになるかもしれない。

本書は、先述のように広告・Web制作会社に身を置く読者には、あまりに内容がライトといえるかもしれないが、ムダのない文体でその気になれば数時間で読了できる分量からいって、読んでも決して損はない概要書といえるだろう。特に、HTML5への対応を強みに、Webサイト制作以外の領域にサービスを拡大していきたいプロデューサーや営業職にはそれなりに役立つのではないかと感じる。特に巻末の「講演後の質疑応答でよく寄せられる質問を集め、それに回答する形で「仕事に役立つHTML5のポイント」をまとめてみた。」というQ&Aは、HTML5を取り巻くちょっとした業界トピックを扱っていて、いくつか興味深い記事もあった。

日本企業復活へのHTML5戦略 アップル、グーグル、アマゾン 米IT列強支配を突き崩す [単行本]
小林 雅一 (著)